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§5 数列の極限 IV
引き続き数列の極限に関するトピックです。今回は §1 で触れた Cesàro 平均について解説します。特に、今回は「どうやって証明を与えれば (考えれば) 良いか」という発想のプロセスに対して焦点を当ててみます。
Cesàro 平均
次の定理を示す事が今回の最初の目標です。
定理 1. 実数 に収束する数列 に対して次が成り立つ。
… 続きを読む※弊所 web site メンテナンスのため今回の更新が大変遅くなってしまった事をお詫び申し上げます。
前回は数列の収束や発散等の定義を与えた上で、実際にいくつかの数列についてその極限の振る舞いを定義に従って調べてみました。今回はまず、数列の極限を調べる際に有用な「直観的には明らかな性質」をいくつか紹介します。
いきなりですが、以下の命題が成り立ちます。
命題 1. を数列とし、ある に対して
… 続きを読むここでは通常大学 (理工系) 初年度で学習するような、現代数学の初歩となる初等解析学、所謂微分積分学について解説をしてみたいと思います。
数理ファイナンスや金融工学においては様々な数学的理論が用いられますが、その基礎となるのはやはり現代の基礎数学と言える「微分積分」と「線形代数」です。例えば標準的 (古典的) なポートフォリオ理論において、投資対象となる金融資産のリスク・リターンの構造をベクトルや行列で表すのが普通であり、それらに対する「適切な (最適な) 投資比率」を決定するために解析学における様々な道具を活用する事が出来ます。更には、Black–Scholes の公式で有名な金融派生商品 (デリバティブ) の価格付け理論においては確率解析 (確率過程論) という理論が本質的に使われているのですが、その全ての基礎にあるのが初等解析学と言えます1。
微分積分学という名称で呼ばれる位ですので、そこで論じられる対象は「微分」と「積分」が主となります。しかし、高校数学でも微分や積分は既に (多かれ少なかれ) 扱われていると思います。現代数学における (初等的な) … 続きを読む
本講座で用いる記号 (notation) についてここでまとめておきたいと思います。最初に通して読むのではなく、必要に応じて適宜振り返って参照していただければ十分です。どれも一般的な記法ですので、必要に応じて他の文献もご参照いただけますと幸いです。