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§24 関数の積分 III
今回は、これまで §14 や §16 で触れられなかった Riemann 積分に関する残りのトピックを扱います。まず、§16 で示した部分積分と対になる置換積分を紹介します。また、Riemann 積分のある意味での一般化を行い、「非有界区間上の積分」や「非有界関数の積分」についても考えてみます。
今回はまず、§18 で導入した冪級数について、前回 §19 で示した結果を使って、その滑らかさについて調べていきます。そうする事で、§18 でも触れたように、冪級数展開と Taylor 展開は実は同じ事を表しているという事が分かります。また、やはり §18 で示した「極限と微分積分の順序交換」を冪級数に対して適用すれば、冪級数に対して「項別に微分積分する」という直観的に自然な (しかし乱暴かもしれない) 計算が、収束半径の内側では正しい事が示されます。それらの性質を使って、これまで登場したいくつかの初等関数の Taylor 展開 (即ち一意的な冪級数表示) を導いていきたいと思います。
前回 §17 から少し間が空いてしまいましたが、今回はいよいよこれまで扱ってきた Taylor の定理や級数を組み合わせて、滑らかな関数を「無限に続く多項式」のような形で表現する Taylor 展開及び冪級数について見ていきたいと思います。今回だけではまだこれらの威力を十分に感じられるところまで話を進める事が出来ませんが、Taylor 展開を用いると、複雑な (但し滑らかな) 関数の形状や挙動を詳しく見られるようになります。またこれまでの範囲では扱う事の出来なかった三角関数も、冪級数を使ってようやく定義出来るようになります。
これまでにも何度か言葉は登場しているのですが、ここで「無限回微分可能な関数」について正確に定義しておきます。
を開区間とします。 に対して、 上の … 続きを読む
今回は §6 の続きです。実数の連続性公理と同値な性質を紹介しながら、実数全体からなる集合 (実数空間1) の持つ基本的な性質を紹介していきたいと思います。
我々が考えようとしているのは主に「実関数の微積分」であり、基本的に「実数に対して定義された実数値の関数」を相手にしていく事になります。今はその準備段階として、数列の収束性や実数の性質等を扱っています。
実数に対して定義された関数の事を調べるためには、まずその「実数」について十分把握しておかなければなりません。そこで、現代数学においては、「実数空間 とは以下の性質を満たす集合の事である」と定義 (約束) し、これらの性質を実数の公理として (正しいルールとして) 認めた上で議論を進めていくのが標準的です23… 続きを読む